4.2. 顕微鏡で見る細胞の世界
https://gyazo.com/8d24df53276d2b30a55a8a85fb213bbe
多くのタイプに分化した数兆もの細胞からなる1つの協調的な社会
行動と思考はどんなことでも細胞レベルで起こる過程の結果を反映したもの
顕微鏡は細胞の世界の窓
1600年代に顕微鏡が初めて使用されるまでは、生物の体が細胞からなっていることなど誰も知らなかった
可視光が試料を透過する
ガラスレンズが像を拡大し、ヒトの眼またはカメラに投影される
顕微鏡の2つの重要な要素
試料の実際のサイズに対して、見かけのサイズの増大に関すること
倍率は分解能に依存する
拡大像の鮮明さに関する
2つの物体を重なって見えることのないように見せる光学装置の能力
眼、望遠鏡、顕微鏡といった光学装置にはそれぞれ分解の限界がある
ヒトの眼は0.1mm
光学顕微鏡の分解能は0.2μm
このことは倍率を約1000倍に制限している
続く2世紀の間に科学者達は顕微鏡で観察した生物のどれについても細胞を見出した
観察による証拠が蓄積した結果、1800年代半ばまでに細胞説が導かれた
すべての生物は細胞からなっており、そして、すべての生物は既に存在する他の細胞に由来するという説
細胞の構造に関する我々の知識は1950年代に生物学者が電子顕微鏡を使用することによって大きく飛躍した
電子顕微鏡は光学顕微鏡に比べて分解能が格段に優れている
細胞表面の構造を詳細に調べるために使用する
特に細胞の内部構造を探るのに有用
現代の最も高性能の電子顕微鏡は0.2nmの小ささまで物体を識別できる
光学顕微鏡に比べて分解能が1000倍優れている
しかし、電子顕微鏡用の試料作成のためには、観察する前に細胞を殺して保存しなければならない
したがって、光学顕微鏡は生きた細胞を見る窓として今でも非常に有用
細胞の2大別
細胞の2つの基本的な範疇
すべての細胞はいくつかの共通した基本的な特徴をもつ
むしろ細胞膜のほうがより一般的
細胞を包む薄い外膜
この膜によって細胞と外界の間での分子の行き来を制御している
原核細胞と真核細胞のいくつかの重要な違い
進化的にみて原核細胞は真核細胞よりも古い
化石は、原核生物は35億年前に出現したが、真核生物は21億年前以前には出現していなかったことを示す 原核生物は通常、非常に小さく、典型的な真核細胞の長さのおよそ1/10で、構造も単純
膜で包まれた構造でそれぞれ固有の機能を果たす
核は真核細胞のDNAのほとんどを納めており、二重膜で包まれている
原核生物は核を持たず、そのDNAは核様体とよばれる「核に相当する」領域に存在している 次のような類推を考える
真核細胞はいくつかの小部屋に分かれた1つの事務所に似ている
各小部屋では、それぞれに特異的な機能が遂行され、したがって多くの内部区画で分業が行われている
真核細胞の小部屋の仕切りは膜でできていて、その膜は各々の小部屋内部の、独自の化学的環境を保持するのに役立っている
対照的に原核細胞の内部は仕切りのない倉庫に似ている
特異的な機能のための空間は異なっていても仕切りによって隔てられているのではない
典型的な原核細胞
https://gyazo.com/a69fab643b9c43a24d7bc6f74cc9f224
ほとんどの原核細胞の細胞膜を包んでいる
いくつかの原核生物では、細胞壁を包む粘液質の被膜がさらに外側にある
莢膜は細胞の保護と、原核生物が物の表面に付着するのに役立つ
これもものの表面に付着することができる
訳注: 真核細胞の鞭毛とは構造も構成成分も異なるので注意 多くの原核細胞はこれで液体の中を泳ぐ
真核細胞の外観
すべての真核細胞は、動物、植物、原生生物、菌類を問わず、基本的に似ている
https://gyazo.com/e53df62a54f4ee79fe0c9171ebf3ce1c
本書全体を通してこの色によって各構造を示す
この用語は原核細胞の内部を指す場合にも用いられる
真核細胞の細胞質は溶液相とそこに浮遊する様々な細胞小器官からなる ほとんどの細胞小器官は動物と植物の両方の細胞に見られる
動物と植物の重要な違い
葉緑体は光エネルギーを食物の化学エネルギーに変換する細胞小器官